コワーキングスペースはハローワークや派遣会社ではない

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photo by lumaxart

どうも、しかたです。

松本さんが「コワーキングすることで仕事は生まれるのか」という記事を書いていますが、私は少し違った切り口から「コワーキング」と「仕事」について考えてみたいと思います。

「コワーキング」という言葉に抱きがちな幻想と、一人歩きしている現実を、私(たち)の肌身で感じたことから検証を試みます。

コワーキングスペースに仕事があるわけではない。

コワーキングすることで仕事は生まれるのか」では、いくつかのコワーキングスペースで生まれたプロジェクトが挙げられています。コワーキングスペースでプロジェクトが生まれ、それが結果として仕事となる。最終的にコワーカーが金銭として収益を上げるケースは、現実として存在します。

しかし身も蓋もないことを言いますが、それはあくまで結果論に過ぎません。コワーキングスペースにやってきた人たちがアイデアを出しあい、お互いの職分を確認した上で、プロジェクトが発生したのです。

ここを間違えてしまうと、コワーキングスペースに来ても肩身の狭い思いをするかもしれません

ハローワークとコワーキングの違い

端的に言えば、コワーキングスペースに集まる人たちは能動的であり、ハローワークに集まる人たちは受動的とでも表現できましょうか。

例えばアプリ開発をするにしても、エンジニア、デザイナー、マーケターなどの職分がありますが、それぞれ個々の仕事がコワーキングスペースで募集されるわけではありません。それぞれの能力を持った人たちが出会った時、初めてプロジェクトとして進行する可能性が生まれます。実際にプロジェクトとしてスタートするか、その後にそれが成功してマネタイズ(収益化)されるかどうかは、その後さらなるハードルがあるわけです。

一方、ハローワークは全く逆でしょう。求人募集という雇用としての「仕事」が予め用意されていて、その様々な条件の中から、自分にマッチするものを選ぶ場所です。うまくマッチすれば良いご縁、そうでなければ引き続き探し続ける。ハローワークに求人募集は常に押し寄せてきますから、条件を下げていけば「自分にあう仕事がない」ということは基本的には無いはずです。

コワーキングで仕事を創るには換金可能スキルがないと難しい

また身も蓋もないことを言いますが、つまりはそういうことです。私はデザイナーですが、デザインが出来るということは、まだまだ特殊技能です。人が出来ないことを代わりにする仕事。あるいは自分でやってもいいけど、とてつもなく面倒くさいから代わりに引き受ける仕事。それが私の換金可能スキルです。

他にも交渉/提案能力であるとか、値付けの巧拙など、自分で仕事を創るのに必要な能力はいくつかありますが、そもそもの換金可能スキルがないと、話は始まりません。

コワーキングスペースは誰にでも門戸の開かれた空間です。各スペースの定める利用料金を払い、そこで自身の仕事をする分には何の制約もありません。しかし、そこで自分の仕事をとる、仕事を「創る」には、それ相応の能力が必要です。

もしコワーキングスペースで仕事が欲しいと思うなら「自分の持っている能力のうち、他人がお金を出して買ってくれるものは一体なんだろう? 」と自分自身に問いかけてみましょう。それが明確にならないうちは、残念ですが仕事になることはありません

派遣会社とコワーキングスペースの違い

一方で、その専門性の高いスキルが集まるということで、コワーキングスペースを一種の派遣会社や制作エージェンシーのように捉えている企業もあるようです。例えば自分たちの企業では手に余る仕事を、フリーランスで各分野のプロが集まるコワーキングスペースにアウトソースするという動きは随分前から見られます。コワーキングスペースによっては、積極的にそういうオファーを集まったコワーカーに「紹介」という形で繋いでいる場所もあります

しかし、あくまで各スペースが任意でやっていることであり、これが日本のコワーキングスペースでどこも日常的に行われていることではないという点に注意してほしいと思います。

これは単なる「紹介」であり、一般労働者派遣業法などに基づく事業でないことにも注意せねばなりません。万一その「紹介」でトラブルが起きた場合、コワーキングスペースの運営者がなんらかの補償を行うことはないでしょう。この手の紹介は、原則当事者間で行うものであり、紹介した側が業務に深くコミットすることはありません。とはいえ、オファーした側も請けた側もそのことは承知していたとしても、そのコワーキングスペースについて何らかの感情的なしこりが残るかもしれません

コワーキングとは直接関係ないのですが、私は一度、紹介で請けた仕事で金銭トラブルになりかけたことがあります。発注企業の対応に起因するもので、私の落ち度は全くありませんでした。結局その時は、仲立ちをしていた2名の方が誠実に対応してくださり事無きを得ました。しかし、その方々にしてみれば、自分が良かれと思って紹介したにも関わらず、突然のトラブルで本来業務とはではない手間と時間を取られたことになります。その2名の方には何のインカムも発生しません。幸い、この件で私と紹介してくださった方との関係がこじれたわけではないのですが、もしかするとケンカ別れになってもおかしくないことでしたので、その時は冷や汗ものでした。

コワーキングスペースは「場所」のメディアです。個人と個人のケンカ別れならそれだけで済みますが。しかし、紹介によるトラブルでそのスペースへ足を運びにくくなっては本末転倒。コワーキングスペースが仲立ちとして「紹介」する仕事には、そういったリスクもあるとコワーカーも運営者も承知して欲しいと思いますし、私個人としては安易にコワーキングスペース運営者が仕事「紹介」するのはもう少し考えて頂きたいな、と思っています。

なお、コワーカーに対して仕事をオファーしたい場合は、今後コワーキングスペースではなく、コワーキング協同組合がその受け皿となるでしょう。今後の動きに期待したいと思います。

まとめ

  1. コワーキングスペースで「仕事を創る」には、換金可能スキルが必要
  2. コワーキングスペースは派遣会社ではないが、仕事のオファーを紹介することはある
  3. オファーの受託は当事者間同士の責任で行われ、コワーキングスペースが責任を持つことはない
  4. 「紹介」によって万一発生するトラブルには、コワーキングスペース側にもリスクがつきまとう
  5. コワーカーへのオファーは、コワーキング協同組合が受け皿となる予定

コワーキングスペースは誰が来てもいい開かれた場所です。が、そこで仕事を得ようと思うと、そう簡単な話ではないですよ、というお話でした。

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